今週のオススメ本

梨木香歩「家守綺譚」新潮社家守綺譚

 友人の父親から預かった、庭付き池付き一戸建て。そこに住まうのは物書きの「私」と飼い犬の「ゴロー」、掛け軸の中の湖から現れる、行方不明になったはずの友人、その他たくさんの妖怪、怪異。さるすべりの木に恋されたり、ゴローが河童と仲良くなったり、小鬼のふきのとう摘みを手伝ったり。主人公もご近所さんも、妖怪やら幽霊やらを見ても誰も驚いたりしない。家を中心に、描き出されるのは100年前の日本人の心にはありふれていたはずの風景。とても優しくて、どこか懐かしくてほっとするような、そんな物語。そして『百鬼夜行抄』が好きな人ならまず間違いなくツボにハマります。


 きっかけは「本屋大賞」だったと思います。トップ10ノミネート作品をまったく読んでいないのはマズかろうと思い、元々興味があったのでそれを期に読んだわけです。……何故発売から半年も放置していたのか、と。何故今まで梨木香歩を読んでいなかったのか、と。それから『西の魔女が死んだ』を読んで滝涙。アレは課題図書にすべきですよ。たった400円なんだから、むしろ必須で!!
 この本にイチ押しPOPを立てていたら、店長が全然関係ない出版者さんから担当者(私)の年齢を聞かれ「シブイ趣味してますね〜」と言われたとか……。一体幾つと答えたら彼は納得したのだろう?