今週のオススメ本

茅田砂胡デルフィニア戦記」全18巻 中公ノベルファンタジア放浪の戦士〈1〉―デルフィニア戦記 第1部 (中公文庫)
(新書版の画像が出ないので文庫版) 



 本屋で働いているからか、新入りの子に好きな作家を聞かれることがよくある。今までは京極夏彦浅田次郎小野不由美田中芳樹の中で、その時のマイブームで答えていたのですが、茅田砂胡はその4人を一気に抜きました。これはハマる。今年の春ごろから読み始めたんですが、何故今まで名前を知っていたにもかかわらず読んでいなかったのかと。もう5〜6年前、バイト仲間、それも私と同じく田中芳樹小野不由美が好きという人に「面白いよ」と言われたのに「そのうちね」と思いながらそのまま忘れていたとは何たる不覚。趣味が同じ人が面白いっていうんだからハズレであるはずがない。案の定、スコーンと落ちました。ファンタジーなのは間違いないんですけど、ライトノベルというにはボリューム多いです。



 刺客に追われていた漂白の自由戦士ウォルは、危機一髪のところを謎の怪力美少女リィに助けられる。自分は王宮を追われた国王だというウォルに興味を持ったリィは「ここは自分のいた世界ではない」と語り、元の世界から迎えがくるまで手を貸してやると言い放つ。手始めにリィは、ウォルを追い出した反対派に捕われている、後見人であり養父でもある伯爵を助けると約束するが……。
 無限に続くかと思われる茅田地獄の幕開けでございます。ストーリーもさることながら、登場人物が揃って個性的で魅力満載。シェラのセリフじゃないけど、王宮は化け物の巣窟です。半分ぐらい進んだあたりで主要な顔ぶれが固まるから、「これ誰?」ということもない(銀英伝はそれで苦労した……)。この先「スカーレット・ウィザード」「暁の天使たち」「クラッシュ・ブレイズ」と続きます。「スカーレット〜」以降はリィが元々いた世界でのお話。デルフィニア以外は順番に読まないと分からないかもしれないです。敢えてバラバラに読んで、後で「そうだったのか」というのでも楽しいですけど。ただ「クラッシュ・ブレイズ」だけは他3シリーズ全て読まないと人物関係が分かりません。読んでみたいなら新書版上下二段組250ページ36冊(現時点で)、覚悟のうえで読んでください。買わなくとも図書館にありますが、私は結局買いました。